さくらさくら2009

  • 26 千鳥が淵の月
    この季節だけは日本人に生まれてよかったと思う。

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2007年6月 9日 (土)

「夕凪の街 桜の国」試写会

ちょっと遅くなりましたがご報告。

2007年6月7日(木) 18:30~
場所:イマジカ東京映像センター
映画「夕凪の街 桜の国」
公式サイト:http://www.yunagi-sakura.jp/
公式ブログ:http://blog.eigaseikatu.com/yunagi-sakura/
監督:佐々部清
原作:こうの史代「夕凪の街 桜の国」(双葉社刊)
出演:
田中麗奈
麻生久美子
吉沢悠
中越典子
伊崎充則
金井勇太
藤村志保
堺正章

映画生活の試写会に当選して行ってきました。
ふんわりとした絵柄と軽い語り口でヒバクシャとその子どもたちの人生を淡々と描く原作に衝撃を受けていたので、どんな風に映像化されたか興味深く見ました。

少し設定年代に変更があったほかは、ストーリーもほぼ原作どおり。想像を絶する原爆被害を受けた広島の13年後(原作では10年後)。悲惨な記憶は鮮やかなまま、人々はそれでも普通に笑い普通に泣き普通に恋に心揺らしながら生きている。
前半「夕凪の街」の主人公(麻生久美子)は、原爆で父と妹を失い、弟を疎開先に預けたまま母と二人暮し。戦火の跡は生々しく、貧しいけれど、景色はおだやか(CG技術によって復興期の広島をみごとに再現)で、人々の心はやさしい。でもここは広島。銭湯に行けば身体にケロイドのある女性たちが肌をさらし、主人公の身体にも異変がしのびよる。
「ピカは落ちたんじゃない。落とされたんだ」
「自分が死ねばいいと思ってる人がいる」そのことが13年たってもまだ彼女の心を苛む。生き延びたことへの罪悪感。幸せを感じるたびに聞こえる声「あんたはそっち側の人じゃない」
そして恋というにはあまりにも淡くたどたどしい愛が、「生きとってくれてありがとう」という言葉でようやく彼女を救おうとしたそのときになって「ピカ」が彼女を捕える。
「ひどいなぁ、わたしはてっきり生き延びた人かと思ったのに」
「ピカを落とした人は、やった、(13年もたって)また一人殺せた!ってちゃんと思ってくれただろうか」死の前にこんな独白。何なんだろう?この諦観に近い受容の中に怒りや憎しみ、悲しみすべて閉じ込めて、彼女は死んでゆく。静かに。一人で。
そして現代。疎開して原爆を知らない弟の娘(田中麗奈)が後半「桜の国」の主人公だ。姉の思い出をたどるため、家族にも内緒で広島に向かった父を偶然再会した幼なじみとともに追いかけているうちに、ヒバクシャだった母、祖母、叔母たち、そしてその血縁者である自分や弟、さらには同行した幼なじみの人生も原爆の影響とは無関係ではないことを知る。。。

ここには派手な戦争の映像も声高な反戦のプロパガンダもない。原爆による悲惨な状況は、(おそらくヒバクシャ自身による)絵によって語られるだけだが、それが何よりリアルで雄弁に現場を伝えて、逆に失われたものの大きさを浮き彫りにしていく。

3,4年前の夏に初めて広島行って、原爆資料館見たり被爆者の方からお話を聞く機会を得た。そのとき驚いたのは、被爆後50年以上たって初めて人に被爆体験を語ったということ。いまだに新たな原爆手帳の申請があるということ。その深い悲しみ、苦しみの重さを思うとき、わかった。この方々の戦後はまだまだ終ってないのだ。いや、たぶんわたしたち日本人すべてがどこかで関わりとつながりがあり、責任があるのだ。忘れないように。繰り返さないように。

いや、そんな風に平和への願いや反戦メッセージに単純に結びつけるのは、むしろ作者の意図から外れるかもしれない。
静かでやさしい映像の中に描かれたささやかな幸せ、家族への思い、人間的な喜びのある人生、いのちに対する温かなまなざし。そんなものをただ素直に受け取ればいいのかもしれない。
ヒバクシャは特別じゃないんだよ、ということ。それが一番伝えたいことなんじゃないか、と思った。

わたしとしては原作の方がお勧めですが、映像の方が人の心に届きやすいのなら、できるだけたくさんの方にこの映画見ていただきたいな、と思います。
コミックは世界中で翻訳出版予定みたいですが、肝心の米国の名前がないのが残念。

この映画でたったひとつの難点を書いておくと、田中麗奈さん(設定28歳)が麻生久美子さん(設定26歳)より年上に見えなかったことくらいかな。

麻生さんって、去年「有頂天HOTEL」で見てからルドルフともども注目してる女優さんです。最近では「帰ってきた時効警察」にご出演ですね。

Pman

ところで帰りに目黒川沿いに見たこのオブジェ。

何だろう?ピーマン?

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コメント

おはようございます。良かった、どうやら原作の雰囲気から大きく外れていないようですね。出演者の中で名前から顔が浮かぶのが二人しかいないことに、月日の流れを感じます。

守屋さんがおわかりになる二人の役者さんって、誰かな?(笑)
とても丁寧な作りで、原作に対するリスペクトも感じられて、良い映画でしたよ。ぜひ世界中で公開されますように。カンヌに出品されるような話があったけど、どうなったのか、話題になりませんでしたね。

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