さくらさくら2009

  • 26 千鳥が淵の月
    この季節だけは日本人に生まれてよかったと思う。

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2008年4月30日 (水)

ミュージカル「Zorro」舞台レポ(第2幕その2)

第2幕
第4場

舞台中央に橋がかかっている。
左手からディエゴが出て来て、歌いだす。
♪ A Love We’ll Never Live
右手からルイサが出て来て、ディエゴが歌っているのと同じ歌を歌いだす。
だが、橋の真ん中は、闇に閉ざされて、2人が顔を合わせることはない。
橋の両端で、すれちがう愛を歌う2人のデュエットは、物悲しい、バラードだ。
その橋の背後の開かれたカーテンの中が青い照明に浮かび、スモークがたかれ、幻想的な雰囲気に包まれる。
そこから、純白のぴったりした短めのズボンのみ身に着けた男性がすべり出て来て、静かに踊りだす。すけるほど薄い白いドレスをまとった女性が出て来て、男性と共に踊る。
男女の魂ということなのだろう。ここのダンスは、この舞台の中で、唯一、クラシック・バレエのような振り付けのダンスで、2人の歌うバラードに合わせて、求め合いながら、すれ違う愛を美しく、表現してくれるパ・ド・トゥだ。
男性が、手を広げて、羽ばたくようなしぐさで、女性に近づく様子など、まるであの「白鳥」のようにも見え、ここの振り付けだけは、アダムが手を加えたのでは、と思った。
幻想的でひたすら美しいダンスは歌の終わりと共に終わり、男女は、また背後のカーテンの奥に消え、橋の上の2人もさみしく左右に立ち去る。

舞台暗転

第5場
広場のジプシーの酒場前。
祭りの後のけだるい雰囲気を漂わせながら、イネスと仲間のジプシー女3人が、テーブルや椅子を引っ張り出して、並べる。
「ゾロが、あちこちに出てきて人助けしているそうね」
「カリフォルニア中の人がゾロが現れるのを待っているそうよ」
などと話しながら、椅子に座り込む。
その反対の隅に、ガルシア軍曹が、一人椅子に座って、イネスたちの話をきいているようだが、やおら立ち上がり、
「ちょっと俺の言うこと聞いて!」 と言う。
「なあに、私のいい人」 とイネスは、からかい気味に言う。
ガルシアは、立ち上がると、イネスたちとは、別の方向にゆっくりと奇妙に腰をふりながら歩きだし、それから、ぴたりと立ち止まると、振り返り、
「レディの皆さん、ちゃんと見ているか?」(客席、笑)
ディエゴに教えられた、女に注目してもらう方法をやってみたのだ。
イネスは、笑いをこらえるのに必死の様子。
「何故ゾロはこのガルシア軍曹には、Zの印をつけに来ないのか!
それは、彼が賢いから、この俺さまが、他の兵士たちには、出来ないことが出来ると見込んでいるからなんだ。秘密の囚人のことを知っている、と思っているんだ。あのラモン大尉でさえ、かなわなかったんだぞ、俺は見てしまったんだが、こう、シュシュッと胸に大きなZのサインをつけられてしまったのだ。でも、俺様は、今夜にでもゾロと会って、どうやって世の中を変えたらいいのか、この賢い頭で相談にのってやれるのさ」
正直、早口の巻き舌でまくしたてるので、なんだか、言っていることがよくわからなかったが、要するに、イネスの気をひきたくて、ゾロにも一目置かれているくらい、自分がいかに大物か、偉そうなことを言っているらしい。
イネスたちの顔色が変わったのにガルシアは気づかず、まくしたてている、その後ろにラモンが通りかかってすっかり聞いていた。
「ガルシア軍曹!何をどうするって!?プライベートな事をよくもそうやってぺらぺらとしゃべってくれるじゃないか!」
飛び上がって、ガルシアはびっくりするが、
「あ、あ、だってラモン大尉殿は昇進の約束してくれたのに、してくれないじゃないですか、俺だって偉くなりたいんです、だから・・・・」 と必死に口答え。
「そういう態度では、もう、お前の昇進は、ないと思え!降格されないだけでもありがたいと思うんだな」
怒りもあらわに、そう言い置いて、ラモンは立ち去る。
イネスは、そんなラモンをじっと見送りながら、またラモンに憐れさを感じているような表情をする。孤立して、いつもとげとげしい態度のラモンの心のさみしさに憐れを感じているということなのだろう。

「俺は、出世したい!」 と叫んで、がっくり、肩を落とすガルシアにイネスとジプシーたちが寄ってくる。
「あんたの気持ちわかるわよ」 とイネスはそばに寄って来て言う。
「もしかして、ゾロだったら、この俺の気持ちわかってくれるかも」 とガルシアが言うのを聞いて、
「自分で考えて、自分が正しいと思った道を進めばいいのよ」、とイネスが言う。
「あんたの幸運、祈ってるからさ!」
ガルシアは少し気を取り直し、「ねえ、聞いて!」 と歌い始める。
“♪ 俺は今は、ただの兵士だけど、その気になれば、ヒーローにだって、将軍にだってなれるのさ” と歌うと、イネスとジプシーも一緒に歌いだす。歌って盛り上がり、“ビール、もう一杯!”と、だんだんガルシアは気が大きくなる。
♪ One More Beer
ビールを飲んで歌い、ドタバタと奇妙なダンスを踊り、しまいに酔いもまわり、ガルシアはすみに走って行って、なんとそこをトイレにして、出すものを出している様子。ズボンの前を留め、ブーツにかかったのか、足をふるようにして戻って来ると、その手でイネスを乱暴につかんで、一緒に踊りだそうとする。
「やめてちょうだい!!二度とそういう事しないで!」
突き放されて、びっくりするガルシアにイネスは、あらためてガルシアのそばに寄ると、やさしく、「さ、顔上げて、もっと誇りを持って、こうよ」 とその手を取ると、曲はにわかにスローテンポの優雅なワルツになり、社交ダンスのように2人で踊りだす。
とまどうガルシアが、思わずイネスの足を踏んでしまい、あ、すまん!と言っても、イネスが気にしないで、と続けて踊るうち、次第にガルシアも優雅に誇り高く踊りだし、イネスをくるりくるりとリードし、みるみる上達する。これにはイネスもへえ、といった様子で嬉しそうに驚いてしまう。
2人は優雅なワルツを美しく踊り終え、静かにたたずむと、ガルシアは、イネスの前に騎士のようにひざまずき、見上げて言う。
「愛しい人よ(ミ・アモーレ)、どうぞ、結婚して下さい」
瞬間、びっくりしたイネスは、叫ぶ。
「ビール、もう一杯!!」
ジプシーたちは大喝采だが、返事もなくて立ち尽くすイネスに、ガルシアは、問いかけるように見ていたが、やがて、首をふってあきらめたように引っ込んでしまう。
イネスは、驚きあきれたような表情をして舞台中央に立ち尽くしているが、当たったスポットライトが消える瞬間、ふっとその表情がなごみ、泣き笑いのような表情になる。
蓮っ葉に見えるイネスだが、あのように正式に求婚されたのは、初めてだったのか、というように思われる、表情の変化が見事。このイネス役の女性は、大変上手だ。客席も笑いと大きな拍手。
舞台暗転

第6場
夜の闇に包まれた橋の上で兵士が2人、見張りに立っている。
「おい、カルロス、俺たちなんでこんなところに居なきゃならないのかな」
「ラモン大尉殿が言うには、あの重要な囚人を助けにゾロが現れるから、よく見張ってろってことだぜ」
そこにガルシア軍曹も来る。
「おい、今までどこ行ってたんだ?」
「ああ、ラモン大尉に、ここらへんをちゃんと捜せって言われてさ、だけど、こんな日は、山のバロシーズ(悪霊たち?)が俺たちを見張っているみたいでいやだ、バロシーズ知ってるか?毒へびとか、毒蜘蛛とか、山猫とか、リス(笑)に姿かえて出てくるんだ。
だから、リスは大きらい!」
言っている先から、“ホーゥ”とふくろうの声。
背後の山の暗がりにいつの間にかゾロが出て来て、兵士たちの話をきいている。
ふくろうの声はゾロが出しているのだ。
「今のなんだ?」
とびくついたカルロスが問う。
「ふくろうだ」 もう一人が答える。
「俺、ふくろうもキライ」 とガルシア。
「だって、ふくろうが3回鳴くと、死に神が出るって聞いてるぜ」
そこに、また、“ホーゥ”
「おい、2回目だ」 とカルロス。
しーんとなって兵士たちは立っている。
また、“ホーゥ” ガルシアが叫ぶ。
「3回目だ!死に神がくるぞ!」
とたんに、こだまのように、“死だ、死だ、死だ” という声が響きわたり、たまらず、ガルシアと兵士たちは、「うわああああ――!」
と悲鳴をあげてころぶようにして逃げ出してしまう。すべて背後のゾロが声を出していたのだ。してやったり、とばかにしたようにうなずいて、ゾロも消える。

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