さくらさくら2009

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2008年10月17日 (金)

映画館でアダムを見る

渋谷にあるシアター・イメージ・フォーラムで、アダム・クーパーが出演している短編映画2本を含む、クエイ・ブラザース監督作品を3本見てきました。
急なお知らせにもかかわらず、アダム友が二人来てくれたのがうれしかったです。(ありがとう!ご一緒できてよかった)

「ピアノチューナー・オブ・アースクエイク」公開記念 クエイ映画祭「~ブラザーズ・クエイの幻想博物館~」プログラムE

見てまず思ったのは、アダムはなんてきれいに踊るんだろうってこと。あの腕、あの足、、本当に久しぶりにアダムらしい踊りを見て、忘れかけてた(笑)記憶が呼びさまされました。

う~ん、なんという貧困なボキャブラリーなんだろう

予想以上に刺激的&衝撃的な映像で、まったく説明にならないと思いますが、簡単にご報告を。

いずれも、
制作:英国テレビ、Channel 4(2000年)
振付:ウィリアム・タケット
監督:クエイ・ブラザース

■Duet(15分)
出演:アダム・クーパー、ゼナイダ・ヤノウスキー

以前、シアターテレビジョンで放映された、マシュー・ボーンがダンスのショート・フィルムを紹介する番組の中にあった短編映画と同じでした。
でも同じ映像でも、テレビで見るのと小さいながら映画館のスクリーンで見るのでは印象がまったく違います。帰宅してから久々に録画を発掘して見直してみましたが、やっぱり大きな画面いっぱいにアダムがアップになるのを見るのはいいものです。特に薄暗いモノクロ(セピア?)画面から照明が入ってカラーに変わる瞬間など、二人ともぱぁ~っと内側から輝きだしたように美しかったです。
ある男女がついたり離れたり、反発しあったり、助け合ったり、ある意味ありきたりの夫婦関係を抽象的に描いたのかな?とも思えますが、並べられた2脚の椅子、遠い雷鳴、風になびく細長いカーテンなどの背景、帽子、スカーフ、お金?などの小道具に何か深いシンボリックな意味合いを感じます。この作品では、あまりクエイ兄弟らしい怪しげなエログロお耽美(笑)な印象はなく、見終わって奇妙な感覚は残るもののむしろ爽やか。

■Sandman(41分)
出演:アダム・クーパー、ゼナイダ・ヤノウスキー、イレク・ムハメドフ、タマラ・ロホ、ルーク・ヘイドン、他

こちらはどんな内容かまったくわからず見たのですが、思ったより豪華キャストだったのでびっくり!クレジットが最初にしか出なかったので、もうひとり女性ダンサー(踊りはなかったけど、たぶん英ロイヤルの)いたんですが名前チェックできませんでした。
帰宅してから少しネットサーチしてみましたが、これ以上詳しい情報がみつからなくて。っていうか、Quay兄弟とその作品についての情報自体が少ない!今週末から始まる新作のプログラムによると、1996年から英ロイヤルオペラハウスでバレエやオペラの舞台美術を手がけているようで、わたしがこの映像作家の名前を初めて見たのも、実はリンバリースタジオで上演されたアンデルセンをモチーフにした舞台(振付:キム・ブランドストラップ、出演:マシュー・ハートほか)でした。この舞台、実際には見ていないのですが、Ballet.coのギャラリーで、John Rossさんの作品からたどっていくと舞台写真が見られます。英ロイヤルとのつながりは深いようですね。

本編の話にもどると、映像がとにかく美しい。妖しくて、エロティックで、ちょっとグロいところもあるけど、その映像センスは目眩がするほどイイです。短いシーンと暗転の繰り返しによってお話が進むんですが、どういうストーリーなのか、抽象的、象徴的すぎて一言では表現できない。っていうか、よっぽど妄想働かせないとちょっと無理(笑)

以下完全ネタバレ、っていうかわたしの勝手な妄想です。

Sandmanっていうのは、辞書によると「子どもの目に砂をまいて眠らせる眠りの精、睡魔」のことらしいです。よくわからないけど、たぶんイレ ク・ムハメドフがSandmanだったらしい。でもこのSandmanは子どもを眠らすとかそんな可愛げのあるキャラじゃありません。全身黒づくめで、 どっちかっていうと死神のイメージに近い。そしてこの死神Sandmanは、ゼナイダ・ヤノウスキーに懸想してるようだ。ゼナイダが演じる女性には重病の 夫?がいて、それを診てくれる医者がアダムです。そしてどうやらゼナイダさんはアダムに淡い?恋心を抱いているような感じ。アダムの方はそれを拒みつつそ んな悪い気もしてない?この複雑で不倫の匂いのする三角関係。このへんの人間関係、かなりいい加減です。妄想ですから~。

イレクSandmanは人形を作っていて、それでアダムの気を引こうとする(ゼナイダさんから引き離す作戦?)が、アダムはそれも拒絶する。このお人形がタマラ・ロホです。ちょっとグロテスクなお面被らされてて、最初よくわからなかったけど、他にいないからたぶん。(なんつーいい加減な)

そういうわけで(何が)、イレクのソロ、アダムとゼナイダのPDD、アダムとイレクのからみ(変な意味じゃなく)、アダムとタマラのPDDと、踊り的にも見せ場がたっぷりあります。40分あまりの映像だけど、踊りがどのくらいあるんだろうと心配してましたが、十分でした。

終盤になって、イレクSandmanが本性表わし、寝ているゼナイダさんの夫の首絞めたり枕で窒息させたりして殺してしまいます。このときアダムも ゼナイダもそばにいるんですが、イレクの姿は見えてないという設定らしい。ここでどういう意味があるのかイレクが死体から目玉を取り出します。アダムが シーツで顔を覆うと真っ赤な血がしみてきます。

あ、その前に病人を見ているアダムの目の前にさっきの人形の姿がチラチラと。アダムその姿を追って?窓から飛び出してしまいます。2階なんだけど。(シルフィードのジェームズみたいね) それが場面が変わって家の外から見ると、アダムは飛び出した格好のままストップモーションみたいに止まってる?!これ最後までそのままでした。ちょっとおもしろい映像効果。

その家の前ではイレクがルーク・ヘイドンの使用人?か誰か(見張りやゼナイダ報告してくれてたらしい)のポケットに何かを突っ込む。何かと思ったらさっき死体から抉り取った目玉でした(ひぇ~)

ゼナイダさんはらせん状の外階段で泣きながら呆然としている。

人形の家?では用が済んで打ち捨てられた人形が抜け殻のように転がっている。

ほんとはこの本筋のほかにもう一組死にそうな病人とその家族らしき女性がいて、その女性が最後にこの人形の家を訪れて転がった人形を発見するんだけどね。

意味はわからないけど、まとめられた本の束、病人がのぞく鏡に映る映像、場面を仕切る長いカーテン、家の回りにだんだん増えていく足場、時間の流れさえまっすぐ進んでいるのかどうかわからない、ブラックアウト、カットバック、とにかくすべてのシーンが意味深なんだけど、意味は考えるだけ無駄っていうか、そんな感じ。(どんな感じだよ~)

いや、もうこんな言葉では言い尽くせないくらい衝撃的だったんですよ。たぶん伝えきれてないと思うけど。終わったあと、身体がじんとしびれて動けなかったもん。

■Song for Dead Children(20分)
最後の短編はダンスではなく、BGMに聖歌風の歌を使った人形アニメでした。テート・モダンとのコラボ作品らしい。これはまたなんとも「死」と「性」の奇妙な融合、というか一種の倒錯的エロティシズム?人形の表情がほんとに子どもの死体みたいで、ちょっとかなりドキっとした。

それにしてもアダムったら、知らない間に?こんなすごい映像作品に出演していたとは。ある意味誇らしいです。セリフはいっさいなし。ダンスとマイムのみ。意外と映像向きの演技もできるじゃん?と変な感想かな。ダンスだって、イレク・ムハメドフがものすごく安定したピルエットを見せてたけど、アダムには技術云々じゃない何か特別な人の目と心を釘付けにするものがあるよね~、って、これイレクの技術とパワーにケチつけてるわけでもアダムに高度な技術がないって言ってるわけでもなく、アダムには独特の雰囲気があるって言いたいのよ。わかってね。

これ、アダムが出てなければ見てなかったと思うけど、アダムいない他の映像も見てみたくなりました。手始めに土曜日から始まる新作映画でも。
アダムに感激する以上にこの双子の妖しげな映像作家にはまったかも。やばい! 

う~ん、長文のわりには意味のないレポでごめんなさい。

★メモ
シアター・イメージ・フォーラム

『ピアノチューナー・オブ・アースクエイク』日本公式サイト
公式ブログ

Brothers Quay公式サイト

【追記】
う~ん、なんだか「?」マークばっかりでほんとにいい加減だな

【追記2】
クレジットに一瞬現れた「E.T.A.Hoffmanの物語をベースに…」という解説の一節を頼りに調べてみたら、ドイツの作家ホフマンの短編で「Sandman」というのがありました。フルテキスト、ネットで公開されてるので読めますが、ざざっとチェックするのにウィキ英語版を開いてみたら、人形師コッペリウスとか、フランケンシュタインとか、悪夢とか、死の恐怖とか、やっぱり!と思うキーワードがザクザク。

英訳テキスト、プリントアウトしたら27ページ。これから読んでみます。

【追記3】
ネットでひろってきたメモ。

カメラマンTonny Millerの経歴サイトから。

THE SANDMAN (feature length)
Directed by the Brothers Quay
Starring Irek Mukhamedov, Zenedida Yanowsky and Heathcote Williams
Music by Janacek
Rotterdam Film Festival, Toronto Film festival (and others)

Heathcote Williamsというのは英国の俳優さんらしい。あの重病人の役の人かな?

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コメント

詳細レビューありがとうございます~~~!衝撃のアダム映像観たかった~~~!!お医者さんのアダム・・・白衣とか来てましたか?本人も知らなかったのでしょうか・・上映の事。再上映して欲しいな!
こちらで情報知ったのが月曜日の夜で、昼寝していた連休が悔やまれます(;;)いずれにせよ今週は体調不良で観には行けなかったけど・・・

美鳥さん

映像のレビューありがとうございました
ううっ、観たかったなぁ

またいつかどっかで
ブラザース・クエイの特集組まれるのを
待つしかないですね

>エミリーさん
アダム白衣じゃありませんでした。いわゆるファミリードクターというの?往診してくれるお医者さん。でも素敵でしたよ
日本未公開作品、初上映ということで、Quay Brothersにはもちろん了解取ってるでしょうが、出演者にまでお知らせあったかはわかりませんね。きっと知らなかったんじゃないでしょうか。
わたしも月曜日友だちから知らされるまで全然知らなかったので、しかたありませんが、ほんとにもうちょっと早く、せめて連休前にわかっていれば、と悔やまれます。もっとたくさんのアダム・ファンに見てほしかった~。

>ゆれさん
ほんとに残念でした。見ていただきたかったです~。
本当に幻想的で怪奇で官能的で美しい映像だったんですよ~。日本にも世界中にもカルト的ファンが多い映像作家らしいので、再上映かDVD化に期待しましょう。

はじめまして。
素敵なレポートありがとうございます。
久々にAMPの白鳥の湖のDVDを見てアダムの最近の活動が知りたくて検索しているうちにこちらのサイトにたどり着きました。
とても参考になりました。
DVDになるといいなぁ。
そして今の生のアダムの踊りが見たいなあ。

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