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2009年8月12日 (水)

“ SHALL WE DANCE”公演レビュー

A tribute to Richard Rodgers
“SHALL WE DANCE”
公演レビュー
2009年7月23日~25日
ロンドン サドラーズ・ウエルズ劇場観劇

 7月23日の初日プレビューより、3日間、アダム・クーパー振り付け、主演のダンス公演「SHALL WE DANCE」を観た。
A tribute to Richard Rodgersと銘うってあるように、全編ミュージカルの巨匠、リチャード・ロジャースの曲を使って、一人の男性の世界恋愛遍歴といったストーリーのダンス音楽劇を作ったものだ。
ミュージカルからチョイスした曲を使うが、本人が歌うことはなく、ナレーションもなしで、曲とダンスのみで見せていく。
オーケストラを舞台上正面の一段と高くした場所に設えて、まず、音楽メインという印象を持たせる。オーケストラを覆うのれん状の垂れ幕がかかり、そこにプロジェクターで様々な背景を写して、場の転換にしている。
 第一幕四場、20分の休憩をはさみ、第二幕五場の構成でおよそ2時間の舞台だ。
 
全体の正直な感想を述べさせてもらえば、アダムが全編踊りつくすという事ではなかなか楽しい舞台ではあったが、それを足しても、いくらか退屈なところがあったのは否めない。まず、選曲が、リチャード・ロジャースのミュージカルに親しんで、良く知っているという人、あるいは世代なら楽しめるものなのかも知れないが、一部は知っていても、初めて聞く曲もあるといったリチャード・ロジャース初心者には、みな同じような旋律に聞こえて、振り付けもまた、同じようなものが続くように見えて、ややあきる。

ストーリーは、しがないウエイターが、恋人のウエイトレスをさしおいて、ボスの女に気に入られ、しまいに居た堪れなくなって店から逃げ去り、世界を放浪してヨーロッパの貴族女性、ロシアの女性、東洋(タイ)の女性、米西部の女性、操り人形の女性、十番街の女性など、様々な女性とめぐり合うが失恋ばかりで、最後は恋人の元に戻ってめでたし、といったあらすじらしい。
らしいというのは、ストーリー自体、曲のつなぎのために無理やりつけたといった域で、最初見ただけでは、良くわからなかったからだ。場の転換が唐突でわかりづらく、流れももたついていた。
特に第一幕は、一人の男性が次々美しい女性と踊っては振られるといった展開で、同じような曲と同じような振り付けが続いて、あのアダムが踊っているのにもかかわらず、退屈してしまった。
客席もシンとしていた。隣席の女性2人連れが、“Disappointed”というのも聞こえてしまった。

休憩後、第二幕になると、「王様と私」「オクラホマ!」などの耳にしたことのある、のりのいい曲が使われて、にぎやかな群舞も入り、「十番街の殺人」も見られて、ようやく楽しめる舞台になった。客席の受けもあきらかに第一幕より良かった。隣席の女性達も手拍子で、“Nice Dance !!”と大喜びの様子。カーテンコールは、大拍手で終わった。

しかし、せりふなしで、わかりやすい、観ているだけで楽しい舞台を作り上げたかったはずだが、それには今一歩の感。
選曲やストーリーなどの演出がもう一工夫ほしい、と思う。
アダムの振り付け自体も、目新しいものはなく、どれも今までどこかでアダムが踊った事のあるものばかりだ。腕を大きく振るなど、アダムが自分の見せ場を充分承知で使う振りで、確かに美しいし好きな振りだが、いつもそれだけでは、さみしい。新しい踊り方のアダムが見たい。
アダムの衣装も最初のウエイターの黒い服一枚で、ズボンがツータック入りのもたついたもののせいか、きれいではなかった。

何もかも、自分で作り上げていくのは楽しいかもしれないし、無から作り出していく才能は確かにすごいと思うが、自分一人で何もかもするのではなく、誰かとコラボしていく方向も考慮してもらいたい。より良い新しいものが出来るのではないか。

また、出産後、初復帰のサラが貴族女性、ロシアン・ガール、十番街の殺される女性に出演していたが、ダンス自体は、天性の体の柔らかさ健在で、さすがに衰える事なく、特に十番街のダンスは、素晴らしいものを見せてくれたと思う。
が、問題はその体形で、登場すると、そのびっくり体形に目がいってしまい、アダムのリフトの都度、大丈夫か、とハラハラするという余計な心配をさせられてしまった。
一般常識で言えば、普通にオーディションを受けたら受かるはずのないほどのものだ。身内という立場に甘えてはいけない。プロとして、もう少し体形をしぼることが出来ないはずはないと思う。ダンスが素晴らしいだけに、おしまれる。

優れた面白い舞台がひしめいている、競争の厳しいロンドンのウエストエンドあたりの舞台に比べると、このアダムの舞台は、残念ながら、すべて弱い。
曲に馴染みのある高めの年齢層には受ける舞台かもしれないが、万人が楽しめる舞台というには届いていない。
7月23日初日からの舞台は、まだ、プレビュー期間であった事もあり、2日目には、もう舞台手直しや衣装変えがあり、流れも良くなり、(アクシデントもあったが・・)これから公演回数を重ねれば、より良い舞台に成長していくかもしれない期待は持てる。
アダムがんばれ!

☆み~  2009年7月

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